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分子制御レーザー開発研究センター(2ページ) 分子研リポート2009 | 分子科学研究所

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研究施設の現状と将来計画 289

8-3 分子制御レーザー開発研究センター

分子制御レーザー開発研究センターは,旧機器センターからの改組拡充によって平成9年4月に設立された。以降, 平成18年度までの10年間,分子位相制御レーザー開発研究部,放射光同期レーザー開発研究部,特殊波長レーザー 開発研究部の3研究部において所内課題研究及び調査研究を行う他,多数の共同利用機器,小型貸出機器を維持管理 し,利用者の便に供してきた。各研究部には助教授及び助手が各1名配置され,またセンター共通の技術支援は技術 課の3名の技術職員(うち二名は,後日機器センターに配置換え)が行ってきた。放射光同期レーザー開発研究部は 猿倉助教授が担当し,分子研 U V S O R との同期実験に向けた基礎的レーザー光学技術の開発の他,大出力紫外パルス レーザーやコヒーレントテラヘルツ光源の開発などの成果を挙げたが,平成18年1月に大阪大学レーザー・エネル ギー学研究センターの教授として転出した。特殊波長レーザー開発研究部は平等助教授が担当し,分子科学の新たな 展開を可能とする波長の可変な特殊波長(特に赤外域)レーザーの開発の他,マイクロチップレーザー光源等の開発 を行い,産業界からも注目される成果を挙げてきた。分子位相制御レーザー開発研究部は,分子制御のための時間的 特性を制御したレーザーの開発と反応制御実験を目的として設置されたが,佐藤助教授が平成12年に転出した。

一方,平成18年度には分子研の研究系・施設の組織改編へ向けた議論が活発に行われたが,この中で,本センター のあり方に強く関連する事柄は以下の2点であった。第一に,レーザーや放射光を重要な研究手段とし,光と物質と の相互作用に基づく分子科学を展開する研究領域として新たに光分子科学研究領域が設けられることになった。従来 はこの研究領域の研究が,主に分子構造,電子構造,極端紫外光科学の各研究系と,極端紫外光研究施設と本センター とに別々に所属する研究グループによって行われてきた。しかし,この組織形態は,多くの共通した概念や方法論を 基本とする研究グループを縦割りに分断し,研究者間の情報の共有や研究活動における日常の議論を阻害する要因と なっていた。一方,レーザー光源を用いた研究グループは,17年度から始まった「エクストリーム・フォトニクス」 のプログラムにより,既に当時,組織横断的なつながりを持つ機会が増えていた。そこで,この新研究領域を創設す ることにより,放射光関連の研究グループとの間の壁も取り払い,本研究所における光分子科学研究をさらに活性化 することを目指したのである。第二の点は機器センターの設置であった。本研究所には以前,同センターが設置され ていたが,その後,極低温センターと化学試料室と共に廃止され,本センターと分子物質開発研究センターが設置され, しかも後者は分子スケールナノサイエンスセンターへと改組された。しかし,共通機器を一括して管理運営し,所内 外の研究者の共同利用を促進する必要が改めて認識され機器センターが再度設置されることとなった。このため,本 センターが管理運営していた共通機器の大部分が機器センターに移管されることになった。この措置により,本セン ターは従来の共同利用に関する業務を大幅に圧縮することができ,その業務のほとんどを開発研究に移すことが可能 となった。これら2点はどちらも本センターが分子研における光分子科学の開発研究の中心として活動するための環 境を整えるものとなった。

このような背景を考慮すると,組織改編後の本センターは,光分子科学研究領域の研究グループと密接な連携をと りながら開発研究センターとしての機能を果たさねばならない。ただし,当該研究領域の研究グループと本センター の役割の違いははっきりと認識すべきである。すなわち,当該研究領域における個々の研究グループがそれぞれの興 味のもとで光分子科学における研究分野を開拓しようとするのに対して,本センターの業務は,光源開発を含む光分 子科学分野の将来像を大局的に展望したときに,今後世界をリードして行く上で重要になって来ると思われる方向の 新分野を切り拓くための装置,方法論の開発研究に重点がおかれるべきである。本センターが開発研究を本務とし, そこで得られた知識,技術,方法論を蓄積し,共同利用研のセンターとして開発された部品や装置および手法を所内 外に提供・共同利用に供する点にこそ,当該研究領域における通常の研究活動と一線を画する違いが存在する。

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290 研究施設の現状と将来計画

ただし,これらの研究と開発研究の間を明瞭に区別することは困難な場合があり,これが渾然一体として研究がな されることもあり得る。このような状況を鑑みると,本センターと当該研究領域間の研究グループの相互乗り入れは 不可欠である。したがって,新組織のもとでは開発要素のある研究を遂行する当該研究領域のグループが本センター に併任し,本センターのリソースをも使いながら開発研究をするなどの措置をとる必要がある。

このような理念のもとに,本センターは19年度より,光分子科学研究領域との連携のもとに,光分子科学の新分 野を切り拓くための装置,方法論の開発研究を行なう開発研究施設として生まれ変わった。新たに開発される装置や 方 法 論 は, 所 内 外 の 分 子 科 学 者 と の 先 端 的 な 共 同 研 究 を 遂 行 す る た め の リ ソ ー ス と し て 提 供 す る こ と が 好 ま し い。 21年度現在,本センターは以下の3つの研究部門より成り立っている。

(1) 先端レーザー開発研究部門;平等拓範准教授(専任),藤.貴夫准教授(専任),加藤政博教授(UV S OR より併任) (2) 超高速コヒーレント制御研究部門;大森賢治教授,菱川明栄准教授(以上,光分子科学研究領域より併任) (3) 極限精密光計測研究部門;岡本裕巳教授,大島康裕教授(以上,光分子科学研究領域より併任),

. 松本吉泰教授(京都大学大学院理学研究科より兼任)

それぞれの部門の任務は,(1) テラヘルツから軟X線にいたる先端光源の開発;(2) 主に高出力超短パルスレーザーを 用いた量子制御法の開発;(3) 高空間分解および高エネルギー分解分光法の開発などである。すなわち,レーザー光 源の開発から新たなスペクトロスコピー,マイクロスコピー,制御法に至る統合的な研究手法を開発することを目的 としている。これらの分野での開発研究から他に類を見ない装置や方法論を開発し,本センターが分子科学研究所の 一つの重要な柱として分子科学分野へ大きく寄与し,新たな共同利用の機会を創出していかねばならない 。 そのため には,現在,先端レーザー開発研究部門にしかない専任准教授のポストを,他の2部門にも設けることが強く望まれる。 また,技術職員が積極的にこれらの研究開発に参加することによって,新たに開発された方法論をセンターに蓄積し ていくための原動力として活躍する事も重要である。その意味では,現在2名分しかない技術職員のポストが少なく とも部門数と等しい3名以上に増員されることが強く望まれる。一方,先端レーザー開発研究部門における加藤教授 の参加は,レーザーセンターと U V S O R との連携による新しい研究分野の創出を目指すものであり,今後,益々先鋭 化する先端レーザー光源を用いた観測制御技術と放射光を用いた研究との連携がさらに進められる。将来的には,レー ザーセンターと UV S OR を包括した,光分子科学研究センター(仮称)の設立も視野に入れ検討を重ねるべきであろう。 この試みは,分子研の光科学分野における研究環境の個性を対外的にアピールする為にも必要であると考える。

参照

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